第6回 飛騨市古川町下野地区

開催日
2010年6月28日
参加者数:
8名

小雨のぱらつく6月下旬の日曜、飛騨市古川町ののどかな農村地域内にある築100年以上の民家(Hさん宅)に8人の「お助け隊」ボランティアが集まりました。今回もインターネットを通じてボランティアを募り飛騨地域内のみならず、京都からの大学生、飛騨古川でインターンシップをしているフランスからの大学院生、古民家の再生に情熱を持ち自らも移築した古民家に住んでいる方等、様々な目的を持った方が駆けつけてくれました。

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今回のお手入れ先は間口10間・奥行6間(約18m×10.8m)の築100年以上の建物で、家主さんによると、玄関の横に牛小屋の跡があり、2階では終戦ごろまで養蚕をしていたそうです。座敷の奥には仏間とお坊さんの控室もあり、現代とは違う伝統的な家の構造・生活様式に驚きを感じました。

家の周りの畑では今でも蚕のえさであった桑の葉が育っているのも見せていただきました。裏山には天皇陛下がご成婚された時に記念に植えたという何本もの立派な杉の木が温かく家を包み込むように立っておりました。

作業前に家主さんからのご挨拶、それから簡単にそれぞれの自己紹介をしたあと、お助け隊のリーダーから作業の手順、注意事項の説明を受けました。そして玄関班、座敷班、お手入れ用具(米ぬか・くるみ)準備班に分かれて作業を開始しました。

玄関班と座敷班はまず脚立を組んで、中丑と呼ばれる天井近くに横たわる太く立派な梁を水拭きし、長年積もった埃を拭き取りました。そのあと、米ぬかとえごまの油を使って磨いていくと、最初は白くくすんだ色だった梁が穏やかな光を放つようになり、お助け隊の一人が磨いているところとまだ磨いていないところの違いを得意げに見せてくれたのが印象的でした。

座敷にあるヒノキ材の扉や玄関の千本格子戸は、水拭きのあとクルミを砕いて布に包んで磨いていきました。時間をかけて磨いていくうちにクルミの油分がじわじわとしみ出し、扉は鏡のように黒光りし人影が映るほどでした。

クルミを割って中身を取り出すのに思いのほか時間がかかってしまったり、千本格子を磨く時にクルミを包んだ袋が釘に引っかかってすぐに破れてしまったりと、慣れない作業に四苦八苦しながらでしたが、みんな作業を楽しみながらなんとか3時間程で作業を終えることが出来ました。

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今回から、お手入れ終了の証として「伝統ある古民家のお手入れ終了証」の木札をお渡しすることになりました。食事前にその木札の裏に参加者全員がサインし、お助け隊リーダーから家主さんに『古民家は大切な財産です。お手入れの記念として家のどこかに貼っていただけたらうれしいです』と言って手渡しました。

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ランチタイムは、家主さんがご用意してくれた豚汁と漬け物、珍しいショウガのおにぎりを頂きながら、それぞれが持つ古民家や農村風景に対する思い、昔の生活について語りあいました。家主さんによると昔は祭りの時などに人がいっぱい集まって来ていたそうで、今回のように多くの人で食事をしている様子を懐かしそうに眺めておられました。京都から参加した学生さんは東北のある町の古民家をうまく保存している地区の話や京都の町屋の保存の現状等を話してくださり、いろんな地域の現状を知ることで、我々もこの飛騨の地にある伝統的な建物、生活文化を少しでも残していこうと決意を新たにしました。

最後に、家主さんを含めスタッフ全員で記念写真を撮り解散しました。