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「美ら地球(ちゅらぼし)ジャーナル」 第九号(不定期発行)

地球がいつまでも美しくあってほしいと願いながら、自然を中心に各国を巡る夫婦が発行。
美を表す沖縄の言葉「美ら(ちゅら)」を借りて名付ける。現地からそこでの体験、感動を
つれづれなるままに発信するメルマガ。

発行日: 2004/10/11
発信地: 中米 ベリーズ ベリーズシティ
発行者サイト: 「美ら地球回遊記」 http://www.chura-boshi.com
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メキシコキャンプ事情 

みなさん、こんにちは。キーコーカー(島)からベリーズシティに戻ってきました。次なる目的地は国境を越えてグァテマラにあるティカル遺跡です。ついに車とお別れをしたので、これからバックパッカー本番です。

今回はメキシコのキャンプ事情。メキシコでのキャンプ経験がある日本人の方はあまり少ないのではないかと思います。キャンプ天国アメリカの隣国、メキシコのキャンプ事情とは・・・。
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アラスカで車を購入する際に、いったい何処まで行けるのだろうかと友人カートと話していた際に、彼は「パナマまでは陸続きなんだから行けるんではないか?」と言った。68歳の現役トライアスリートの言うことは間違ってはないが、少し壮大過ぎないかと思いながらお互いに笑った。カリフォルニアやテキサスからアメリカ人はメキシコへ行っている事は知っていたので、メキシコまでは行けるはずだとなんとなく感じていた。

メキシコをクルマで旅できるとすればキャンプも出来るはずと、L.A.滞在中にネットや本屋で調査してみた。「バハ・キャンピング」などという本があって、バハ・カリフォルニアにあるキャンプ場とそれぞれの設備が書かれている。その本によるとバハには数多くのRVパークがあり、それらをつないでいくと私たちのバハの目的地ラ・パスまでたどり着けそうだった。
バハから先のメキシコ本土の情報はあまり見つからないままではあったが、私達はメキシコ国境を車で越え、キャンプをし続ける準備を整えた。

初日の目的地は国境より30kmほど南下したRosarito。本屋バーンズ・アンド・ノーブルスで立ち読み、メモしたキャンプ場を探し、それらしき場所に「Camping」の看板。ようやく見つかった。門番にキャンプをしたいと告げると、「週末だけだ。ごめんよ〜」とつれない返答。メキシコではキャンプ場の入り口にもゲートがあり門番がいる。メモした紙を見せてここはこのキャンプ場か?と聞くとどうやら違うらしい。

さっそく、「バハ・キャンピング」の情報に疑問が沸いて来た。とにかくメキシコではキャンプ場以外ではキャンプをするなと多くの人に言われたため、なんとか見つけたい。
結局、そこから数キロ下ったところに別の看板が出ていたので、そこに泊まることに。海から切り立つ断崖絶壁に段々畑のように整地されただけのサイト。看板には「Ocean Side」。まぁ、たしかに海の目の前であることには違いないが。。。トイレは便器が一個のみ。便座はないし、水を流すレバーはない。周りを見回すとドラム缶に桶を発見。どうやらここから桶で水を汲み、自分で流す手動水洗便所である。

次の日、テントをたたみ南へ向かう。いかにもというサボテンに挟まれた道を南下し続けた。この日は道路が太平洋岸から内陸に入る地点にあるキャンプ場を目指した。午後三時頃に到着したが、あるはずの場所にはキャンプ場らしきものはない。やはり、予想していた嫌な予感は的中した。仕方なくそのまま南へ進み始めた。アラスカでは日が長いので夜まで車を走らせていても良かったが、緯度もかなり降りてきているし、治安を考えても明るいウチに寝床を確保したいところであるが、こうなってしまうのである。

その日は次なるキャンプ場が見つかったので、そこに泊まることにした。しかし、このRVパーク、名前はRVパークでしっかりと70ペソ(≒700円)を取るが、そこは廃墟。確かにRVのフックアップ(電気と水道をキャンピングカーにつなぐコネクタ)はあるが、その土台のコンクリートは朽ち果て、もちろん水も電気も出ないし、トイレもなし。フェンスに囲まれていて周りにも5軒ほどの家しかないので、襲われることはないとは思うが、あまりにも荒野。車輪やエンジンがない、ガラスが割れた廃車をテーブルに料理をしていると野犬(飼い犬かは不明)がノソノソと寄ってくる。それはそれはワイルドキャンピングである。

インターネットで調べると、メキシコ本土でも主要な観光都市近くにはキャンプ場があることがわかった。しかし、その都市の観光局が作っているWebサイトに乗っているキャンプ場であっても行ってみると存在しない、存在しても廃墟という場合がほとんどであった。

もちろん全てというわけではなく、数少ないが例外はある。それは世界遺産に指定されているようなメジャーな遺跡の周辺である。私達はパレンケ、ウシュマルと二つの遺跡を訪れたが、いずれも数箇所のキャンプ場が近くにあった。ウシュマルのキャンプ場は私たちが一番欲しいアイテム、ピクニックテーブルとシャワーが完備されたかなり快適なキャンプ場であった。メジャーな都市でもラ・パスやカンクンにはちゃんと営業しているキャンプ場があったので利用した。
キャンプ場を利用しているのは西欧からの旅行者(テント)と退職後のアメリカ人(RV)が大半で、アジアから旅行者は私たち以外に誰も見なかった。

おわかりかとは思うが、キャンプとは多くの場合、都市に住む文明人の自然回帰欲を満たす贅沢な遊びなのである。メキシコのキャンプ場は景気の良かった時代にアメリカ人がこぞってキャンピングカーを引っ張って南下してきた際に作っては見たものの、アメリカの景気が悪くなり、立ち行かなくなったのではないかと思う。メキシコ人でRVに乗ってキャンプできる人はいるとしても本当に一握りだと思う。

キャンプ好きの私たちから言わせてもらうと、宿泊形態としてキャンプという選択肢は残しておいて欲しい。大型ホテルのように雇用を創出するような効果はないが、自然に優しいアコモデーションであるはずだ。バンクーバーのような大都市でもキャンプ場はあったので、他でもあると良いなぁと思っている。

キャンプ大国カナダ・アメリカを二ヶ月ほど旅した後だっただけにそのギャップはかなり大きかったが、それでもメキシコ滞在20日間中、13日間はキャンプが出来た。キャンプ場自体が廃墟であったとしても、その周りの自然は美しく、静かでノンビリできるので、私達はメキシコキャンプライフを満喫した。
興味がおありの人はぜひ、体験していただきたい。

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Webサイト内「美ら地球の歩き方、キャンプ情報」に、もう少し詳しい情報も掲載されています。

2004/10/9 ベリーズ、ベリーズシティにて

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